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とても時間がかかってしまったけれど

この2ヵ月、気持ちの良い湯あたりのような感覚と、大きくため息をつきすぎて前に深く落ちて行きそうな感覚が交互にやって来る、そんな感じと共に過ごしていた。2ヵ月前より前は、タラブックスの2人のギータさんと会う前のことで、2ヵ月前より後は、2人のギータさんと会ってからのこと。ちょっと大げさな表現に思うけれど、まっすぐに書こうとするとどうしても大げさな位の表現が出てくる。お二人にお会いしたことや、タラブックスについて知ったことの経験はそれほど衝撃を伴っていた。その強さをきっちり憶えておきたい。その思いからも何度も日記に記そうとしたのだけれど、どうしても表現に追いつかなさやあざとさを感じてしまって書けなかった。やっと書く気持ちになれたのは、頭が冷えたからだと思うけれど、これからの自分の仕事にちょっとした新たな覚悟が生まれたからかもしれない。- – – はじめてタラブックスの本を見たのは数年前、シルクスクリーンを教えてもらっていた工房でのことだった。全て手作業で作られていると教えてもらったその本は、美しいだけでなく物としての魅力が凄かった。こんな本が作れるなんて羨ましいと思ったようにも記憶する。それから昨年の夏に開催されたイベントで、書店では見なかった多くのタラブックスの本を紹介してもらいまた衝撃を受け、作られて行く工程をまとめた動画を拝見してから、驚く位の早さで一気に引き込まれてしまうのだけれど、それでも1冊も自分で持つことはしてこなかった。物を作りたいと思っている自分が手にすると、安易に真似てしまいたくなりそうで、それが怖くて持てなかった。- – – その先の数ヶ月後、タラブックスを紹介された本を読み、板橋区立美術館で「世界を変える美しい本 インド・タラブックスの挑戦」という展覧会でずっと側にいたいと思うような作品を前にしたり囲まれたり、シンポジウムで学んだりするのだけれど、どれも、すごく楽しいのに辛い、という思いをする(笑。 タラブックスの世界に触れる時、美しさを支えるものが立ち現れて、自分や自分の仕事と向き合わざるを得なくなるからだ。- – – 今、ワークショップでお目に掛かった時のお二人の笑顔がしっかりとした支えになっていることを感じている。単なる笑顔ではない。重ねてこられた経験に理念や哲学を伴った、本物の強さと優しさの表れ。あの日の詰めの甘さや思うことを話せなかったことへの落胆、何をしたくて何をしようとしているかを掴みきっていないことを知った苦さは消えないけれど、思い出すたび、安心をする。頭は冷えたけれど、しっかり残してもらったものを感じられる。そして出来ることをしている。さまざまな価値の消費スピードが速すぎて、どこに居るのかわからなくなりそうな昨今にあって、2ヶ月を経てもしっかり影響を与え続けてくれている存在があるということは、まだ貴重な経験をしている最中なんだなと思う。お目に掛かることが出来たことにとても感謝している。機会を創ってくださったり、通訳をしてくださった方々にも。- – – そしてこの半年を経てやっと本を買えると感じている。真似などできないと知ったので、素直に楽しめる。嬉しい! 内容だけではなく、存在全体が人に影響を与えるタラブックスの本。自分が物を作るとき、抱きつきたい大きな木のように、存在してくれるように思う。- – – 今インドは、どんな光景が広がっているのかなぁ。